イタリア旅行④<ヴェネツィア編>

2015/10/10

海外旅行

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イタリア旅行④<ヴェネツィア編>

 イタリア観光2日目、ヴェネツィアの朝である。イタリアの朝食はパンとコーヒーという軽めのものが主流ということで、このホテルでは、クロワッサンともう一種類のパン、ハムやスクランブルエッグなどの軽食と、最初からドカッとテーブルに置かれたややぬるめのコーヒーとミルクをついで飲むアバウトなスタイル。それでもクロワッサンは昨日のホテルほどではないがおいしかった。

 8時15分、ホテルを出ていよいよヴェネツィア本島へ。ヴェネツィアの観光地はイタリア本土から橋を渡って島になっている場所にある。バス待機場でバスを降り、露店のお土産やさんが並ぶ道を突き抜けて、水上タクシー乗り場へ行く。ヴェネツィア本島は、島の真ん中をS字型に大きな運河が流れており、この水上タクシーで運河を進み、ヴェネツイア観光の中心地となる場所へ向かうのだ。小さなフェリーのような船は、ゆっくりとしたスピードで進む。少し行くと、まるで中世ヨーロッパに迷い込んだかのような街並みが運河の左右に広がる。昨日のミラノのドゥオーモではあまりの壮大さに圧倒されたが、今日は全く違うニュアンスの感動が胸に押し寄せる。本当に、現実か夢か、よくわからないすばらしい風景、ずっと眺めていたかった。




 うっとりするのもつかの間、10分程度で目的地へ到着。目的地付近では中世ヨーロッパの仮面舞踏会にでも出てきそうな仮面をかぶり、フランス人形(ここはイタリアだがうまい表現が見当たらないので)のようなドレスを来た人が観光客を物色している。おそらくあれも金目当ての詐欺なのだろうか。ちなみにこの仮面は、ヴェネツィアで冬に今でも行われているカーニバルのときに、みんながこのような仮面をするのだそうで、この仮面のレプリカがいたるところにおみやげとして売っていた。水上タクシーを降り、今通ってきた大運河沿いを少し戻る方向に歩いていくと、途中に「ため息橋」という橋を紹介される。見た感じ「橋」というよりは建物と建物の「連絡通路」といった趣だが、かつて、囚人が投獄される際に最後にこの橋からヴェネツィアの景色を見て、もう二度とこの美しい景色を見ることがないとため息をついたところから名づけられた橋なんだとか。


 そんなヴェネツィアの古い建物と美しい景色を見ながら10分ほど歩いてゴンドラ乗り場へ到着。水の街ということもあり、この日は朝からかなり冷たい風が吹いていたが、ゴンドラに乗るころには少し暖かくなってきていた。乗ったゴンドラは6人乗りで、大運河から建物の中を縫うように走っている細い運河に入っていく。船頭さんはナチュラルな金髪が長くてチリチリの若そうなお兄さんで、我々には見向きもせず、ずっと前を行くゴンドラの船頭さんと(ほぼ一方的に)しゃべり続けていた。チップをあげると歌を歌ってくれる人もいるようだが、とてもそんな感じではなかった。大運河から、建物の間の狭い路地のような運河へ入るが、その操縦技術はさすがで、ゴンドラ一台がやっと通れるような狭いところも全くぶつからずにスイスイ進む。しかもずっとおしゃべりしながら。ゴンドラからの街並みは素晴らしいの一言、建物一つ一つが歴史を感じさせ、今はホテルやレストランなどになった古住宅地をぬうように30分ほどの周遊を楽しむ。途中、ツアーでご一緒した夫婦のゴンドラがすぐ近くにいたので、デジカメを交換してお互いを撮り合ったが、こっちがカメラをお返ししたところで、お互いのゴンドラが離れてしまいこちらのカメラを受け取ることができなかった。しかし、ご夫婦が気を使っていただいて、たくさん風景や我々の写真をたくさん撮っていただいたので、おかげさまでいい想い出をたくさん残させていただくことができた。



 ヴェネツィアの路地裏を思う存分楽しんだあと、サンマルコ広場というヴェネツィアのメイン広場で現地ガイドの方と合流する。この方、日本語もものすごい上手で、本人いわく「10ヵ国語を話せる」と言っていた。巧みな日本語でジョークをふんだんに交えながら、ヴェネツィアの魅力、素晴らしさを余すところなく伝えるまさにプロの仕事、素晴らしいガイドさんで、ヴェネツィアの旅が彼のおかげで最高に楽しい思い出となった。サンマルコ広場には、かつてヴェネツィアが共和国であったころの栄華を象徴するような建物たちが魅力たっぷりに存在している。サンマルコ広場を囲む、現在市役所として使われている建物、サンマルコ寺院、その隣に立つ、かつてのヴェネツィア総督の邸宅(ドゥカーレ宮殿)や国会議事堂があった現在の美術館など、一つ一つの建物が豪華絢爛で、ずっと見ていても全く飽きないし、それぞれの建物を説明するガイドさんのしゃべりがまた面白くて、ぐっと心をわしづかみにされる。ガイドさんによると、サンマルコ寺院の中は、11時半から12時半の間にライトアップされるため、その時間になって中に入る予定だという。それを待つ間、ヴェネツィアのレース(布)屋とヴェネツィアングラス工房へ向かう。


 ヴェネツィアングラスではまず工房で実際に作成しているところを見学。フェラーリの跳ね馬や花瓶をあっという間につくるデモンストレーションを見た後、上の階でショッピング。北海道民には小樽の北一硝子を思わせる感じがするが、値段はかなり高い。ガイドさんのお客ということで(と本人は言っていた)コーラやファンタ、ワインをタダで飲ませてくれた。その後、再びサンマルコ広場で少し説明を聞いた後、いざサンマルコ寺院の内部へ入る。
 寺院の中では、実際にミサをやっており、神聖な場所なので男性は脱帽、肌の露出の多い短パンやノースリーブなどではダメ、リュックもダメ、写真やビデオもダメなど制約が多い。中は天井に金をふんだんに装飾した絢爛豪華な教会になっており、「ヴェニスの商人」で栄えたヴェネツィアの栄華を反映するものとなっている。この寺院の隣にあるかつての総督がいた建物(ドゥカーレ宮殿)との隠し通路があるらしく、もともとはヴェネツィア共和国総督のプライベート寺院であったとの説明があった。いろいろ見学した後、最後にガイドさんが是非紹介したいという、奥の聖人マルコのミイラが安置されている場所と、その裏にある金銀宝石で装飾されているプレートを、2ユーロを払って見に行く。2000個ほどの宝玉が埋め込まれているプレートは一見の価値あり。

 以上、現地ガイドさんの面白い説明で、夢の中にいるようだったヴェネツィア見学も終わり、30分ほどのフリータイム。先ほどゴンドラで運河の中から見た路地の中にはたくさんのお店があり、そこを散策する。カプチーノとジェラートのお店で休憩したり、シラスのような魚を見たりしながら過ごし、集合場所に戻り昼食のレストランへ。ここで同じツアー客の2人が行方不明になるハプニングあるが、食事中に無事帰還。たった一人で30人以上の人数を仕切らなければならない添乗員さんは気が休まるヒマがないんだろうなぁとあらためて感謝。
 メニューはペンネと魚介類のフライ、ペンネはホールトマト風の味付けだが、味が薄く不評(基本、イタリア料理は味が薄く、塩胡椒をお好みで足さないと日本人には物足りないが、テーブルに置いていないので店員に話しかけなければならず、基本困る)。魚介類のフライは、小えびまるごとやイカのフライでこちらは塩味もほどよくきいていて、美味しく食べることができた。デザートはパイナップルをそのまま4分の1カット。


 食事を終え、レストランを出た後にグループの一部の人がいなくなってしまうハプニングもあったが、最初に時間と場所をアナウンスされていたため先に集合場所に向かっていたらしく無事集合し、来た時と同じ水上タクシーに乗って、最初のバス待機場まで戻る。このタクシーに乗っている途中で雨が降り、船の甲板に出てた人も中に避難する。それにしても、観光が概ね終わった後の雨で助かった。ちなみにこの旅行、普段の行いがいいからか、8日間の日程でほとんど雨にあたることはなかった。イタリアの神様に感謝である。バス待機場では1ユーロのトイレで念のため用を足し、記念に1ユーロで売っていたヴェネツィアンカーニバルの仮面のマグネットを購入した。このマグネットは現在我が家の冷蔵庫で、一人中世ヨーロッパの雰囲気を出し続けている。


 水の都、ヴェネツィアはどこもかしこも感動的で、ガイドさんがまた超一流であったこともあり、この旅の中でも1~2を争う楽しいものとなった。後ろ髪を引かれつつ、バスは次の目的地フィレンツェへ。ところが途中、バス内に大きな「ドン」という音が響き、次第に焦げ臭いニオイが車内に立ち込める。運転手さんが車を停め、車外を確認すると、何か棒のようなものを巻き込んでいたようで、それを取り除くと無事運転を再開した。実はこれ、大事には至らなかったが、よくよく考えると高速でのハプニングだったので、下手をすれば大参事になっていたのでは…と思うと背筋がゾッとする。その後も交通事故のせいによる渋滞に遭遇したり、高速を降りた後の市街地でも渋滞に巻き込まれるなど、目的地への到着が予定よりかなり遅れ、無事夕食のレストランについたのは午後8時前となった。泊まるホテルとは別のホテルの中にあるレストランで、ボローニャ風パスタと牛ステーキ、イチゴアイスの三品が提供された。パスタはボソボソしてると家族には不評だったが、個人的には好きな味で、ステーキは結構赤いレアな状態で食べるのがこっちのスタイルなんだとか。確かに、これ以上焼いたらかなり固くなってしまうというくらい固く、骨もついていた。相変わらず味は薄く、ステーキソースもないため塩で食べる。



 その後、路上駐車が切れ間なく続く道をさらに30分くらいバスで走って、ようやく今日の宿、ホテルミラージュへ到着した。部屋はかなり古く、備えつけのブラウン管テレビのリモコンの電池がなく、うんともすんとも言わない。しかし、長時間のバス移動でヘトヘトに疲れてしまっていたため、部屋のお粗末さなんか全く気にならず、その日は文字通りバタンキューであった。

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