イタリア旅行③<ミラノ編>

2015/10/09

海外旅行

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イタリア旅行③<ミラノ編>

 イタリア観光初日、海外旅行に来たという興奮であまり眠れない中、6時にモーニングコールが鳴った。日本ならこの時間ならもう少し夜が白んできていると思うのだが、起きて窓の外を見るとまだ真っ暗。しかし窓から見える高速道路には車がビュンビュン走っている。これがミラノの当たり前の朝の風景なのか。
 食事は7時からホテルでバイキング。特筆すべきはクロワッサン。この後、どこのホテルでも朝食のバイキングにはクロワッサンが登場するが、ここのホテルのクロワッサンが一番おいしかった。ふわふわで今まで食べたクロワッサンの中でも(そんなに食べてもいないが)ベスト3に入るほどウマい。そのほかにも、まさかこんなところで出会えると思わなかった桃の缶詰めに舌鼓を打つ。なお、イタリアの朝食と言えばコーヒーだが、イタリア語で書かれていたコーヒーメーカーは、使い方がさっぱりわからなかった。


 ホテルのチェックアウトは午後8時。部屋にあったミニバー(冷蔵庫)を利用したかどうかを聞かれ、ノーと答える。実際に利用していないのだが、自己申告なので嘘ついても行けちゃうのだ。スリや泥棒が多いくせにこういう部分はルーズなのは全く不思議な国である。ザ・イタリア人という感じの雰囲気を持つジローラモみたいな顔をした陽気な運転手さんのバスに乗り、30分ほどでミラノ市街地へ到着。日本語を話すことのできる地元ミラノ人の女性ガイドさんと合流した後、バスから降りて「スフォルツェスコ城」を見学に行く。
Wikipediaによれば、「スフォルツェスコ城」は1450年にミラノ公爵のフランチェスコ・スフォルツァがヴィスコンティ家の居城を改築して建設した城塞だそうで、その後改築等を繰り返し、現在はその一部が現存し、内部は博物館として利用されているようだ。我々は内部には入らず外観を見学するだけだったが、いかにもヨーロッパという建物を初めて目の前にし、感動を覚える。
 見学途中、黒人が近寄ってきてミサンガを無理矢理渡そうとしてくる。「ノー」と言っても割と引き下がらずについてくるので、大きな声「ノー!」と叫ぶとようやくいなくなった。これらの輩は日本人に巧みに話しかけ、無理やりミサンガを手首に固く結び、お金を要求するという詐欺であり、気をつけるようにと事前に添乗員さんに教わっていたおかげで助かった。なんせ、我々は新婚旅行のハワイで浮かれて、到着直後にオウム詐欺(肩にオウムを乗せている人が近寄ってきて「一緒に写真撮りませんか」と言われ、うかつに撮ってしまったため寄付金を要求されるという典型的な詐欺)にやられてしまった典型的な気の弱い日本人なのである。


 ちなみにここで「イヤホンガイド」について。今回のようなツアー旅行では参加人数も多く、全員がガイドさんの説明する声を聞ける位置でまとまって歩くのが困難なため、イヤホンガイドというのを導入している。一人一台小型ラジオのような機械が貸し出され、スイッチを入れてチャンネルを合わすとイヤホンからガイドさんや添乗員さんの声が聞こえてくるのである。非常に便利なのだが、これがなかなかやっかいで、ガイドさんの声が耳元で聞こえるため、自分はガイドさんのそばを歩いているような気になって、あちこち写真を撮ったりしているうちに、ふと気づくと声がイヤホンから聞こえてくるだけで、添乗員さんの姿はおろか、同じツアーの人たちの姿も見失ってしまうということがよくあるのだ。事実、このツアーでも一時行方不明になった人がいるので、あながち大げさな話ではない。添乗員ツアーでは気をつけなければいけないポイントだ。

 一通り城を外観から見学した後、再びバスに乗り「スカラ座」の前に。「スカラ座」とはミラノの伝統あるオペラ劇場であるが、オペラに関心のない我々にとっては見ても特に感動はない。


 それよりも道路を挟んで向かいの広場にあるレオナルド・ダ・ヴィンチの像の方がイタリアっぽくてインパクトがあった。そのダ・ヴィンチ像のある広場の奥には「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世アーケード」というアーケードショッピングストリートがある。海外旅行の経験が少ないので、たとえが実に貧相だが、東京ディズニーランドの入ってすぐのところのアーケードに近い雰囲気を感じる(もちろんスケールも装飾のレベルも段違いだが)。



 ちなみにこの「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」という名前は、この後もいたるところで耳にすることになるが、それもそのはず、都市国家であったイタリアが19世紀に統一されて、一つの王国になった際の初代国王の名前なのだそうだ。このアーケードの中には見慣れたマクドナルドの看板をはじめ、プラダなどの高級ブランド店なども軒を連ね、ミラノのシンボル的な場所なのだそうだ。なお、アーケードの中央付近に牛のモザイク絵があり、その牛の局部に自分の踵をつけて3回まわると幸せになるという言い伝えがあるとか。そのアーケードを抜け、向こう側に出たところで、この旅で最初の感動を味わうことになる。


 そこには言葉ではうまく表せないが、世界中の感嘆詞を発して余りあるほどの巨大で荘厳で壮大で繊細な建物がそびえ立っていたのだ。イタリアでは「ドゥオーモ」と呼ばれるこの建物、その街を代表する教会堂のことで、ミラノだけでなくイタリアの各都市に存在する。中でもミラノのものは広さで言えばサン・ピエトロ大聖堂に次ぐ2番目の広さを誇る。ただ単に大きいというだけではなく、尖塔がいたるところにあり、その先には小さな像のようなものもあり、とにかく細かく繊細につくられているのだ。聞けば500年もの時間をかけて完成した建物とのこと。スケールが違うのである。ガイドさんの案内で中にも入ることができた。ステンドグラスが印象的な教会は、すごく広く、絵画や彫刻もたくさん展示してあり、さながら美術館のよう。初のイタリア教会見学、その歴史と厳かな雰囲気に口あんぐり状態が続くのである。同じように西洋の人も、日本のお城やお寺などを見たときに異文化への畏敬の念にとらわれるものなのだろうか、ふと不思議な感覚になる。
 ちなみに、教会の内部を見学する際は、短パンやキャミソールなど露出の多い服装は禁止され、帽子やサングラスも取らなければならない。観光客にとっては単なる見物対象でも、地元の人にとってみればお祈りをするための神聖な場所なのだ。




 ドゥオーモを出た後、15分ほどのフリータイム。この旅行初のフリータイムだったが、15分という短さのため一体何をしたらいいのかわからず、結局トイレに行くことに。ここで、イタリアで初めての有料トイレにお目にかかる。「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世アーケード」にある建物の地下にトイレがあるとのことで行ってみると、料金50セントの看板が。係の人がいて、コインを入れるとバーを通過できる仕組みになっている。両替機もあり、今後もトイレのために小銭があったほうがいいと思い、ここで5ユーロを2枚1ユーロに両替することにする。添乗員さんのいるツアーでは、ところどころ免税店に案内されるのと引き換えに、その店舗にある無料のトイレを貸してくれるのだが、場合によっては今回のように有料のトイレを使わざるを得ない場面がある。有料だからといって特別キレイなわけではなく、むしろ日本の方がキレイだ。ここでも日本の素晴らしさを痛感する。ちなみに子どもたちは無料で使わせてくれる。イタリアは基本、子どもにやさしい。
 15分休憩が終わった後、免税店を案内された後(ここでトイレにいけば無料だったのに!)、いよいよ昼食。レストランでリゾットとカツレツ、チョコバナナケーキを食べる。リゾットはそもそも日本の調理方法と違うらしく、米を炊くというより煮るといった感じで、食べなれている日本の米に比べると固かった。余談だが、ミラノの付近には米の産地があるため、ミラノではリゾットが食されるが、イタリアのその他の地方ではあまりリゾットを食する習慣はないのだとか。カツレツは油っぽくなく、フライドチキンのような味でおいしかったが、自らお好みで塩コショウをしないとやや味がうすい。このレストランに限らず、わりとこの旅行で行ったレストランは薄味のところが多かった。もともとイタリア人は薄味好みなのかどうかは不明であるが。
 また、イタリアのレストランでは日本のように無料の水が出てくることはなく、何かしらの飲み物を頼むのが当たり前の文化なのだそうだ。値段はミネラルウォーターが1リットル3ユーロ、500mlで1.5ユーロ、ワインも250ccで3ユーロとそれほど高くはない。ミラノなどイタリア北部は白ワインがいいらしく、実際飲んでみるとスパークリングでとても飲みやすかった。食事代はツアーに含まれているため、食後に店の人が各テーブルごとにやってきて飲み物料金のみを請求されるという展開が最後まで続くことになる。

 その後、ツアーバスは高速(アウトストラーダ)に乗る。日本でも一般的となった「ETC」はイタリア発祥なんだそうで、イタリアでは「テレパス」と呼ばれている。北海道のそれとあまり変わらない田園風景を見ながら次なる目的地、ヴェローナへ。途中、提携ショップにより、おみやげやを買う。SMAPの木村君が某番組で紹介したという店の人の宣伝文句につられて「黒トリュフ塩」を買う。ついでに黒トリュフのオリーブオイルも買う。この「黒トリュフ塩」が後で大変なことになる。

 ヴェローナでは現地のガイドさんはつかず、1時間ちょっとのフリーの散策タイムとなる。ちなみにツアーの添乗員さんはイタリアのガイド免許がなく、イタリアでは免許がない人が勝手に観光客を連れて歩くと2000ユーロ近い罰金を取られるらしいので、添乗員さんが旅行客を連れて歩くことができないのだ。
正直、この旅行に行くまでヴェローナという街を知らなかったのであるが、他の街に負けず劣らず歴史の古い街で、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台として有名な街でもあるんだとか。
 ここで、イタリア旅行①<準備編>で紹介した「maps」というアプリがとても役に立つこととなる。このアプリは、事前に地図をダウンロードしておけば、あとはGPSによって現在地を地図上に表示してくれるというもので、お気に入りの場所も登録できるし、ナビ機能もあるので全く知らない街でもスイスイ行けてしまうのだ。とりあえず、1時間ちょっとでスタート地点であるバス待機場に戻らなくてはならないので、まずはスタート地点をしっかりお気に入り登録。そして向かうは「ジュリエッタの家」。ロミオとジュリエットのモデルになったと言われる家で、「お~ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」というシーンで有名なバルコニーがある。ヴェローナの街並みはいかにもヨーロッパという建物がならんでおり、もちろん行き交う人々はほぼ外人。全く見知らぬ街を、しかも迷えばどうなってしまうかわからないという中を、案内されてではなく自分の力で散策するというのは、スリル感もハンパなく、超テンションが上がる。「ジュリエッタの家」は、おそらく「maps」のアプリがなければたどり着けないほどにわかりづらい場所にあるのだが、「maps」のおかげで迷わずに行くことができた。思ったよりもせまい中庭のような場所に観光客がごった返しており、例のバルコニーと、ジュリエットの銅像が立っている。その銅像の胸を触ると幸せになるというジンクスがあるらしく、とりあえず触らせていただく。6ユーロを払えばジュリエットのバルコニーに上がることもできる。


 一通り楽しんだあと、「アレーナ」という、コロッセオに似たローマ帝国時代の闘技場に向かう。まだこの時点では本物のコロッセオは見ていないが、すでに「アレーナ」の時点で感動する。「アレーナ」の周辺はいろいろなお店が並んでおり、イタリアンジェラートの店でティラミス味のジェラートを食べるのだが、ちょっと想像していたものより甘すぎて、しかも味も微妙ということもあり、イタリアンジェラートのデビュー戦は少し心残りなものとなった。




 「maps」のおかげで帰りもスムーズにバス待機場まで戻ることができた。バス待機場にあった公衆トイレは70セントという中途半端な額であったが、とりあえず今後のことを考えて用を足す。両替機で50セントと10セントコインを大量に獲得、ミラノで獲得した1ユーロコインも含めて手持ちのコインが充実してきた。これでしばらくは両替機のないトイレでも大丈夫だ。

 無事、ツアー客全員がバスに戻ってきた後、ヴェローナから再び高速に乗り、ブドウ畑を見ながらヴェネツィアへ向かう。我々が想像する水の都ヴェネツィアは島になっている部分だが、イタリア本土側の一部(メストレ地方)もヴェネツィアの市域であり、この日宿泊するホテルは本土にあるものだ。きっともっと高いお金を払えば島の方に泊まれるのだろう。まず、ホテルに行く前にすぐそばにあるレストランで夕食。この日のメニューはシンプルなイカスミパスタ、ヒラメの柔らかいフライにデザートのプリン。私的にはイカスミパスタはおいしかったのだが、子どもたちは見た目の印象が強烈だったらしく、あまり食が進まなかったようだ。しかし、お店の人が子どもたちを見るなりたびたびかまってくれて、小さなおもちゃをもらったりして子どもたちも大喜びしていた。本当にイタリア人は子どもに優しいのだ。


 食事もすんで、本日の宿泊地、アレキサンダーホテルに到着。住宅地の一角にひっそりある感じのこのホテル、設備は古く、ユニットバスはカギが壊れて閉じ込められそうになるくらいで、音もやたらと響くし、まさに泊まるだけのホテルという感じであった(一応Wi-Fiはあり)。
 今日の荷物を整理し、昼間に買ったおみやげの黒トリュフ塩を、おみやげ入れ用に持ってきたバッグにしまったのだが、ふと、けっこうニオイがきつかったので大丈夫かなぁと思い、バッグの中に顔を突っ込んでみると…。すぐに服をしまうために持ってきた圧縮袋を一つカラにして、その中に何重かのビニール袋に入れたトリュフ塩を突っ込みジップロックのように密閉した。さきほどのバッグはすでにトリュフ塩のニオイが染みついており、結局帰るときまでニオイはとれなかった。それくらい強烈なニオイであったのだった。
 明日はいよいよヴェネツィア本島の観光である。そしてそこで、本当にこの旅行に来てよかったと強く思うのであった。

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