知床オーロラ・流氷の旅
2016年は2月22日に網走に流氷接岸。今年は流氷の接岸が昨年より34日遅く、過去平均よりも20日遅い、観測史上一番遅いものだったようだ。旅行まで毎日のように流氷の接岸状況をホームページでチェックしていたが、何とかギリギリ旅行日には間に合ったようだ。しかし、今年の流氷は動きやすいらしく、風向きによっては「おーろら」も流氷が見れない時があるらしい。あとは運を天に任せるほかない。
10時前に出発。高速に乗り旭川方面へ。途中、けっこうな吹雪で高速も50km/h規制がかかっていたりして、道も凍結しててかなり精神的にも疲れる運転で、予想より時間がかかってしまったが、無事高速の終点丸瀬布ICに到着それでもまだ道のりの半分ちょっとを過ぎただけ、180kmほども残っている。そこからはひたすら一般道(途中短めの高速っぽい道路もあり)を通って、途中、海にびっしりと広がる流氷に感動しながら6時間以上かけて午後4時過ぎにようやく本日の宿泊地「知床プリンスホテル風なみ季」(現在は「KIKI知床 ナチュラルリゾート」に名称変更)に到着。
風呂から上がった後、夕食の時間までの間に「あそびの森」へ。ホテルの1階にあり、それほど広くはないスペースだが、ボールプールやサイバーホイール(中に入ってハムスターのようにコロコロ回る大きな輪っか)など、小学生までの子どもが喜びそうな遊具のあるキッズスペースだ。利用は無料だが、いちおうチケット制になっており、チェックインの際にもらったチケットを箱の中に入れるシステムになっている。しかし係の人は誰もおらず、フリーで入れちゃったりもするが、チケット自体はなくなればまたもらえるので、無料で何度も利用できる。大人が腰かけるために、お酒でも出てきそうなカウンターがあるが、中には誰もおらず、お酒も出てこない。
なお、ホテルのホームページには
「小さなお子様がいるご家族で「子どもがまだ小さいので旅行なんて行けない」とお困りではないですか? 「ゆっくり温泉に入りたい」、「エステでリフレッシュしたい」、「たまには二人だけでゆっくり食事がしたい」などの要望にお応えしたいと思い、キッズルームを開設しました。」
と書いてあるので、子どもをここで遊ばせて親は別のところでゆっくりできるのかと期待させるが、実際には「必ず保護者同伴でご利用ください。」となっており、結局親はその場所に拘束されるのであまり意味はない。それでも、ここまでのキッズスペースを備える温泉ホテルはあまり見たことがないので、先ほどの子ども風呂も含め、子連れファミリー層へのアプローチを強く感じる。
食事を終え、部屋に戻ってしっかり厚着をして車でオーロラファンタジーの会場へ。会場はホテルから車ですぐのところ。車から降りて会場まで歩いているとキタキツネを発見。子どもたちが喜んで走って追いかけるのですぐに逃げてしまうが、さすが知床である。にぎやかな道を少し歩くとライトアップされたトンネルがあり、そこを抜けたところに会場がある。ステージに向かって階段状の立ち見観客スペースが設けられており、ギリギリにいったためいい場所はとれなかったが下の方の場所を確保。やがて、今年で最後のオーロラファンタジーであるというアナウンスが流れ、イベントがスタート。ステージにはモクモクとスモークが立ち込め、やがて緑や紫、オレンジ、赤といった照明でそのスモークを照らしてオーロラを再現、効果音楽が流れる中、約20分にわたり光の演出が繰り広げられた。当日は気温はそれなりに低かったものの、風も弱く厚着もしっかりしていたので顔以外はそれほど寒さを感じなかった。その寒さの中、目の前に繰り広げられた光景は幻想的であり、せっかくのこんないいイベントが今年限りでなくなってしまうのは惜しい気持ちになってしまう。子どもたちも自分たちのカメラ(デコラパレット)でしっかりオーロラを激写、本当にいい思い出になったようだ。
ホテルに戻ると入口では羅臼昆布のスープで出迎えてくれた。とても温かいサービスだ。もう今日は運転しないのでようやくビールを解禁し、冷えた体をお風呂で温め直してゆっくりと休む。
翌日、朝風呂をさっと浴びて朝食会場へ。朝食も同じくバイキングで、朝食にはめずらしいラーメンがあった。その他は一般的な朝食と変わらないが、大好きなたらこと岩のりがあったのでそれをごはんにかけてモリモリ食べる。
網走までは約70km程度の距離。1時間ちょっとでつくだろう。12時15分までには「おーろら」の乗船手続きをしなければならないため、少し急ぐ必要があったが、まだ時間があったのでチェックアウトは先に済ませて10時まで再び「あそびの森」で子どもたちを遊ばせてあげる。その後、未来郵便局に手紙を出す。売店で専用のレターセットを買って、そこにあるポスト(本物の郵便ポストではない)に投函すれば、ホテルが1年間保管して、1年後に郵便に出してくれるというもの。今書いた手紙が1年後に自分たちに届くのだ。1年後が楽しみ。
「おーろら」の受付を済ませ、厚着もしっかりしていざ船へ乗船。船は室内に1階席、2階席があり、もちろん外に出ることもできる。日曜日だったこともあって、船の中はかなり混んでいて席がほとんど空いていなかったがなんとか1階席の4人分を確保。1階席はちょうど海表面のすぐそばを見ることができ、室内にいながらにして流氷を目の前に見ることができる。とりあえずこの時点では普通の海水が見えるだけだ。出航して、しばらく船は何もないところを航行。時々取り残された流氷がポツリポツリと浮かんでおり、北海道外から来たと思われる観光客の人は海に氷が浮かんでいるのがめずらしいらしく、感嘆の声をあげている。しかし、道民の我々はこの程度では当然満足できない。しかし15分ほど沖の方まで行くと「この先この船は流氷帯に入ります」というアナウンスが流れ、窓の外はびっしりと海面を覆う流氷でいっぱいになった。早速寝ていた子どもたちを起こし外に出る。そこには辺り一面の流氷と、船の通った跡がモーゼの十戒のようにくっきりと割れている。氷の上には鳥が羽を休めていたり、これなら道民でも満足の風景で、親子ともども夢中でカメラのシャッターを押した。途中、「アザラシが氷の上にいます」というアナウンスが流れたが、人混みで思うように動けず、結局その姿をとらえることはできなかったが、当日は天気も良く、気温もそこまで低くはなかったため、気持ちのよい青空の下、存分に流氷を味わうことができた。
TEL:0152-43-6000
約1時間ほどの航海を終え、戻ってきたときにはすでに全員が腹ペコ。この旅行の最後は、「おーろら」の乗り場である道の駅「流氷街道網走」から10分ほど知床方面に戻ったところにある、JR北浜駅の駅舎内にある「停車場」という喫茶店。目の前に海があり、JRの無人駅(かなりボロいが廃駅ではない)の駅舎を利用しているというマニアにはたまらないロケーションから、知る人ぞ知る有名なお店のようだ。海沿いの道を東へ進み、10分ほど走ると北浜駅が見えてきたが、何やらものすごい車が止まっており、しかも人もいっぱいいる。もう2時だというのにそんなに人気の店なのか?と思ったが、車から降りてその理由がわかった。大勢の人の目的は喫茶店ではなく、そこに停まっている列車だったのだ。緑色の江ノ電のような車体の列車に、この田舎では考えられないほど多くの人が乗車し、しかも列車に向かって人々が横断幕を向けて、感極まりながら手を振っている人もいる。もちろん撮り鉄の人もたくさんいる。その車体を見ると「ノロッコ」と書かれている。そういえば、「流氷ノロッコ号」という列車が今年で運行を終了するといった新聞記事を読んだような気がする。その「流氷ノロッコ号」がまさにこれなのだ。しかもよくよく聞くと、この日が本当に最後の運行日で、その日のうちでも最後の便だったようだ。そりゃみんな感極まった顔をしているはずだ。全く関心はなかったが、こういう情緒あるものがなくなってしまうのは本当に寂しいものだ。しかし、全く予期しなかった偶然でそんな歴史的瞬間に立ち会えたのは奇跡的でもある。しっかり写真も撮らせていただいた。
TEL:0152-46-2410
おいしい昼食をいただき、いざ帰路へ。ノロッコ号の余韻の残る北浜駅をあらためて見てみると、建物は木造の小さなものなのだが、なぜだか趣がある。そんな駅舎を眺めていると、一人のおじさんが「自分と駅舎を撮ってほしい」と言ってきたため、撮ってあげた。また、駅舎の外には何のためにあるのかわからないが、木製の展望台があり、上ってみるとオホーツク海はもちろん、海沿いを走る線路、遠くにはうっすらと知床連山も見ることができる。今回の旅の目的はオーロラファンタジーと流氷船に乗ることだったが、思いがけずに最後にいい旅の思い出ができたのである。
10時前に出発。高速に乗り旭川方面へ。途中、けっこうな吹雪で高速も50km/h規制がかかっていたりして、道も凍結しててかなり精神的にも疲れる運転で、予想より時間がかかってしまったが、無事高速の終点丸瀬布ICに到着それでもまだ道のりの半分ちょっとを過ぎただけ、180kmほども残っている。そこからはひたすら一般道(途中短めの高速っぽい道路もあり)を通って、途中、海にびっしりと広がる流氷に感動しながら6時間以上かけて午後4時過ぎにようやく本日の宿泊地「知床プリンスホテル風なみ季」(現在は「KIKI知床 ナチュラルリゾート」に名称変更)に到着。
駐車場は道路を挟んで向かいの空き地に自分で停める。かなり接客には力を入れているようで、出迎えのあいさつが気持ちいい。今回の旅の2つの目的のうちの一つ、「オーロラファンタジー」というショーが開催される「知床ファンタジア」というイベントは今年で最後。ホテルのチェックインの際に参加するかどうかを聞かれ、参加すると答えると入場券を先に渡してくれた。料金はチェックアウトの際に精算するとのこと。チェックインをすませ、部屋へ案内するかどうかを聞かれたが必要ないといい自分たちで部屋へ。6階の和洋室は手前側が和室、奥が洋室でベッドが2つのなかなかいい部屋。子どもたちはベッドが大好き。飛び跳ねてよろこんでいる。いちおう海側の部屋なので、遠くの右側に海が見えるがそれほどいい眺望というわけでもない。予定より遅くなってしまったのでいそいで風呂に入る。風呂は高温の浴槽が1つ(おんこ湯・たぶんおんこの木でできてる浴槽)、中温の浴槽が1つ(月光の湯)、そんなにぬるくない低温の浴槽(天空の湯)とかなりぬるい低温の浴槽(大地の湯)と子ども風呂(ぬるくて浅い、おもちゃも備え付けてある)、源泉100%かけ流しの露天風呂、サウナと水風呂という構成。個人的にはきちんと熱めの風呂もありつつ、けっこうぬるい浴槽が一つあることによって、のぼせずにゆっくりだらだら入ることができる点がGOOD。おもちゃが備え付けられている子ども風呂というのはありそうでなかなかなく、子どももずっとそこに入っていたことから、子連れにはかなり高いポイントだ。
風呂から上がった後、夕食の時間までの間に「あそびの森」へ。ホテルの1階にあり、それほど広くはないスペースだが、ボールプールやサイバーホイール(中に入ってハムスターのようにコロコロ回る大きな輪っか)など、小学生までの子どもが喜びそうな遊具のあるキッズスペースだ。利用は無料だが、いちおうチケット制になっており、チェックインの際にもらったチケットを箱の中に入れるシステムになっている。しかし係の人は誰もおらず、フリーで入れちゃったりもするが、チケット自体はなくなればまたもらえるので、無料で何度も利用できる。大人が腰かけるために、お酒でも出てきそうなカウンターがあるが、中には誰もおらず、お酒も出てこない。
なお、ホテルのホームページには
「小さなお子様がいるご家族で「子どもがまだ小さいので旅行なんて行けない」とお困りではないですか? 「ゆっくり温泉に入りたい」、「エステでリフレッシュしたい」、「たまには二人だけでゆっくり食事がしたい」などの要望にお応えしたいと思い、キッズルームを開設しました。」
と書いてあるので、子どもをここで遊ばせて親は別のところでゆっくりできるのかと期待させるが、実際には「必ず保護者同伴でご利用ください。」となっており、結局親はその場所に拘束されるのであまり意味はない。それでも、ここまでのキッズスペースを備える温泉ホテルはあまり見たことがないので、先ほどの子ども風呂も含め、子連れファミリー層へのアプローチを強く感じる。
食事は2階にある「オーロラ」でのバイキング。オススメは、自分で好きなだけ海鮮をかけて食べることのできる海鮮丼と、具材やスープの味を選べる五香鍋。デザートも種類はそれほど多くないのが少し残念だったが、チョコレートファウンテンなど子どもが喜びそうなものがある。種類が豊富というほどではないが、十分楽しめる食事だった。
食事を終え、部屋に戻ってしっかり厚着をして車でオーロラファンタジーの会場へ。会場はホテルから車ですぐのところ。車から降りて会場まで歩いているとキタキツネを発見。子どもたちが喜んで走って追いかけるのですぐに逃げてしまうが、さすが知床である。にぎやかな道を少し歩くとライトアップされたトンネルがあり、そこを抜けたところに会場がある。ステージに向かって階段状の立ち見観客スペースが設けられており、ギリギリにいったためいい場所はとれなかったが下の方の場所を確保。やがて、今年で最後のオーロラファンタジーであるというアナウンスが流れ、イベントがスタート。ステージにはモクモクとスモークが立ち込め、やがて緑や紫、オレンジ、赤といった照明でそのスモークを照らしてオーロラを再現、効果音楽が流れる中、約20分にわたり光の演出が繰り広げられた。当日は気温はそれなりに低かったものの、風も弱く厚着もしっかりしていたので顔以外はそれほど寒さを感じなかった。その寒さの中、目の前に繰り広げられた光景は幻想的であり、せっかくのこんないいイベントが今年限りでなくなってしまうのは惜しい気持ちになってしまう。子どもたちも自分たちのカメラ(デコラパレット)でしっかりオーロラを激写、本当にいい思い出になったようだ。
ホテルに戻ると入口では羅臼昆布のスープで出迎えてくれた。とても温かいサービスだ。もう今日は運転しないのでようやくビールを解禁し、冷えた体をお風呂で温め直してゆっくりと休む。
翌日、朝風呂をさっと浴びて朝食会場へ。朝食も同じくバイキングで、朝食にはめずらしいラーメンがあった。その他は一般的な朝食と変わらないが、大好きなたらこと岩のりがあったのでそれをごはんにかけてモリモリ食べる。
網走までは約70km程度の距離。1時間ちょっとでつくだろう。12時15分までには「おーろら」の乗船手続きをしなければならないため、少し急ぐ必要があったが、まだ時間があったのでチェックアウトは先に済ませて10時まで再び「あそびの森」で子どもたちを遊ばせてあげる。その後、未来郵便局に手紙を出す。売店で専用のレターセットを買って、そこにあるポスト(本物の郵便ポストではない)に投函すれば、ホテルが1年間保管して、1年後に郵便に出してくれるというもの。今書いた手紙が1年後に自分たちに届くのだ。1年後が楽しみ。
そんなこんなで10時を少し過ぎてホテルを出発。知床では海岸にびっしり張っていた流氷だったが、網走まで下りてくると海岸にはほとんど流氷は見られず、残骸だけが残っている状態だ。本当に流氷が見られるのか若干心配になったが、「おーろら」のホームページを見ると、一応午前中の2便は「流氷あり」で航行したことが書かれている。11時40分ごろに「おーろら」の乗り場である道の駅「流氷街道網走」へ到着。かなり混雑しているようで車はかなり離れたところに停めるしかなかった。ちなみにこの「流氷街道網走」は過去にも寄ったことがあり(こちらのブログを参照)、「網走流氷カレー」という青いカレーをヨメさんが食べたところである。
「おーろら」の受付を済ませ、厚着もしっかりしていざ船へ乗船。船は室内に1階席、2階席があり、もちろん外に出ることもできる。日曜日だったこともあって、船の中はかなり混んでいて席がほとんど空いていなかったがなんとか1階席の4人分を確保。1階席はちょうど海表面のすぐそばを見ることができ、室内にいながらにして流氷を目の前に見ることができる。とりあえずこの時点では普通の海水が見えるだけだ。出航して、しばらく船は何もないところを航行。時々取り残された流氷がポツリポツリと浮かんでおり、北海道外から来たと思われる観光客の人は海に氷が浮かんでいるのがめずらしいらしく、感嘆の声をあげている。しかし、道民の我々はこの程度では当然満足できない。しかし15分ほど沖の方まで行くと「この先この船は流氷帯に入ります」というアナウンスが流れ、窓の外はびっしりと海面を覆う流氷でいっぱいになった。早速寝ていた子どもたちを起こし外に出る。そこには辺り一面の流氷と、船の通った跡がモーゼの十戒のようにくっきりと割れている。氷の上には鳥が羽を休めていたり、これなら道民でも満足の風景で、親子ともども夢中でカメラのシャッターを押した。途中、「アザラシが氷の上にいます」というアナウンスが流れたが、人混みで思うように動けず、結局その姿をとらえることはできなかったが、当日は天気も良く、気温もそこまで低くはなかったため、気持ちのよい青空の下、存分に流氷を味わうことができた。
<網走流氷観光砕氷船おーろら>
住所:北海道網走市南3条東4丁目5の1(道の駅「流氷街道網走」)TEL:0152-43-6000
約1時間ほどの航海を終え、戻ってきたときにはすでに全員が腹ペコ。この旅行の最後は、「おーろら」の乗り場である道の駅「流氷街道網走」から10分ほど知床方面に戻ったところにある、JR北浜駅の駅舎内にある「停車場」という喫茶店。目の前に海があり、JRの無人駅(かなりボロいが廃駅ではない)の駅舎を利用しているというマニアにはたまらないロケーションから、知る人ぞ知る有名なお店のようだ。海沿いの道を東へ進み、10分ほど走ると北浜駅が見えてきたが、何やらものすごい車が止まっており、しかも人もいっぱいいる。もう2時だというのにそんなに人気の店なのか?と思ったが、車から降りてその理由がわかった。大勢の人の目的は喫茶店ではなく、そこに停まっている列車だったのだ。緑色の江ノ電のような車体の列車に、この田舎では考えられないほど多くの人が乗車し、しかも列車に向かって人々が横断幕を向けて、感極まりながら手を振っている人もいる。もちろん撮り鉄の人もたくさんいる。その車体を見ると「ノロッコ」と書かれている。そういえば、「流氷ノロッコ号」という列車が今年で運行を終了するといった新聞記事を読んだような気がする。その「流氷ノロッコ号」がまさにこれなのだ。しかもよくよく聞くと、この日が本当に最後の運行日で、その日のうちでも最後の便だったようだ。そりゃみんな感極まった顔をしているはずだ。全く関心はなかったが、こういう情緒あるものがなくなってしまうのは本当に寂しいものだ。しかし、全く予期しなかった偶然でそんな歴史的瞬間に立ち会えたのは奇跡的でもある。しっかり写真も撮らせていただいた。
そんなこんなで喫茶店に入ると、やはり満席で、それでも一組待ちだったので駅の待合室で待つことに。待合室は壁も天井もびっしりと名刺やきっぷが貼ってある。旅人が訪問の記念に貼ったものと思われるが、天井にはどうやって貼ったのだろうと子どもたちは不思議に思ったようだ。
少し待つと席に空きができたようで、中に案内される。中は木を基調としたぬくもりのある雰囲気で、とてもかつては駅事務所だったと思えないほどいい雰囲気である。最初は中央にある円テーブルに案内されたが、窓側の席が空くと親切にも「そちらの席に移りますか?」と聞いてくれた。せっかくなので移動すると、窓からはオホーツク海が見渡せ、何ともいいシチュエーションだ。私と下の子は「かにラーメン」を、ヨメさんは「シーフードカレー」、上の子は「オムライス」を注文。みんなで回しあって食べたが、どれも田舎の喫茶店とは思えないほどおいしかった。なるほど、シチュエーションだけでなく味もしっかりしているところが、有名な理由なのだろう。
<軽食&喫茶 停車場>
住所:北海道網走市北浜無番地TEL:0152-46-2410
おいしい昼食をいただき、いざ帰路へ。ノロッコ号の余韻の残る北浜駅をあらためて見てみると、建物は木造の小さなものなのだが、なぜだか趣がある。そんな駅舎を眺めていると、一人のおじさんが「自分と駅舎を撮ってほしい」と言ってきたため、撮ってあげた。また、駅舎の外には何のためにあるのかわからないが、木製の展望台があり、上ってみるとオホーツク海はもちろん、海沿いを走る線路、遠くにはうっすらと知床連山も見ることができる。今回の旅の目的はオーロラファンタジーと流氷船に乗ることだったが、思いがけずに最後にいい旅の思い出ができたのである。