森のゆ 花神楽(1)
我が家のオトナは寒いのにめっぽう弱いため、冬はウインタースポーツは全くやらず、家に引きこもることが多い。さすがにそればかりではヒマなので旅行の計画を立てる。今回の宿は「森のゆ花神楽」。
以前紹介した、函館恵山の「ホテル恵風」にある露天風呂付き客室にすっかりハマってしまったので、客室に露天風呂がついている宿を探した結果、「森のゆ花神楽」がわりとリーズナブルに泊まれる宿だったので、早速予約することにした。場所は旭川の隣の東神楽町。せっかくなので「旭川冬まつり」という冬のイベントに合わせて予約をとった。ところがこの選択がとんでもない悲劇を招くのであった。
旅行当日は札幌の気温もかなり低く、旭川にいたっては予想最高気温が-8℃という予報であった。十分に厚着を準備して車に乗り、いざ出発。高速は何やら吹雪で通行止めのようだが札幌は風は強いものの、雪はほとんど降っていない。高速を使わないで札幌から旭川に向かう一般的なルートは、国道12号線をただひたすら走るだけ。ただこのルートは途中に岩見沢市があり、それなりの市街地を走るため信号待ちなどが多く私はあまり好きではない。そこで私は、江別から信号待ちの少ない国道275号線に迂回して、滝川で12号線に合流するというルートをいつも選択していた。今回もそのルートで行こうと思い、江別市街を通りすぎて石狩川を渡って田舎道をひた走っていく。
にわかに空模様が怪しくなり吹雪の様相を呈してきた。周りは住宅はほとんどない、農地が広がる本当の田舎道。さえぎるものが何もないうえ、折からの強風により空からも地面からも雪が舞い視界がどんどん悪くなっていく。いつの間にか前はほとんど見えなくなり、視界はほぼゼロ。たまに住宅などがあると風がさえぎられるせいか、うっすらと見えるようになるものの、それ以外は本当に窓をあけて横を見ないと、自分がまっすぐ走っているのかさえわからない状況。そのためいつの間にか曲がって走っていて横の雪山に突っ込みそうになったり、対向車線にはみ出していたりする。対向車もすれ違う直前にならないと見えないのでかなりの恐怖。後ろでは5歳の長女が心配そうにしているが、田舎道のためUターンすることもできず、引き返すこともままならない。
すると突然、前方で車がハザードランプをつけて停まっている。おそらく前が見えないので立ち往生しているのであろう。しかし道は1車線。この車を追い抜かないと前には進めないが、抜かすためには対向車線に出る必要がある。しかし対向車が来ているかどうかは全くわからない。どうするか迷ったがここで立ち往生しても雪が止むとは限らないし、田舎道のため対向車はほとんど来ない。意を決して前の車を追い抜かすべく対向車線に出た。案の定、こういうときに限って対向車は現れるのだ。間一髪、ぶつかることは避けられたが結局追い抜かすことはできず。すっかりビビッてしまった私はしばらく立ちすくんだが、再び意を決して追い抜きにかかる。今度は対向車は現れず追い抜きに成功。なんとか先に進むことができた。途中、交差点で曲がったりして車の進む方向が変わるとすこし視界がよくなったりするのだが、やがてすぐに真っ白の世界へ戻る。そのうち、まっすぐ進んでるつもりなのに何やら雪に埋まっていく感触が。このまま進めば車が埋まってしまうかもしれない。こんなところで埋まったら最後、自力では二度と抜けられなくなるだろう。助けを呼ぶにもこんな田舎で目印もないところにいるのに自分がどの辺にいるのか説明できないし、説明できたとしても助けにくる車がここまでたどりつけるとはとても思えない。まさかこんな目に遭うとは思わなかった。こんなことならおとなしく12号線を走っていればここまでひどいことにはならなかったのに、と悔やむ。しかしここで停まっていても状況は悪くなる一方だ。ちょうど少し戻ったところにUターンできそうなスペースがあったのを思い出す。このまま進めばおそらく埋まる確率はかなり高い。しかしバックでUターンスペースまで戻るとなると、後ろから後続車が来た場合、おそらく激突は避けられない。まさに進むも地獄、退くも地獄である。一か八か、バックでUターンスペースまで戻る方に賭けてみる。幸い後続車はなく、無事Uターンに成功した。そのうち、右に曲がれば12号線へ出るという青看板が見えてきた。国道にさえ出れば大丈夫だ、助かった!と安堵したのもつかの間、右折しようとすると人が立っており大きく×のサイン。どうやら通行止めらしい。最悪だ。まるでパニック映画のようだ。12号線が無理なら275号線に出るしかない。白い地獄の中、もはや自分がどの辺を走っているのかもよくわからない状態で助手席の妻となんとか協力しながらゆっくりゆっくり進み、やっとの思いで275号線に出ることが出来た。場所は月形町役場まで数キロの地点。すこし進むとセブンイレブンの看板が。生きていることを実感する瞬間だった。
以前紹介した、函館恵山の「ホテル恵風」にある露天風呂付き客室にすっかりハマってしまったので、客室に露天風呂がついている宿を探した結果、「森のゆ花神楽」がわりとリーズナブルに泊まれる宿だったので、早速予約することにした。場所は旭川の隣の東神楽町。せっかくなので「旭川冬まつり」という冬のイベントに合わせて予約をとった。ところがこの選択がとんでもない悲劇を招くのであった。
旅行当日は札幌の気温もかなり低く、旭川にいたっては予想最高気温が-8℃という予報であった。十分に厚着を準備して車に乗り、いざ出発。高速は何やら吹雪で通行止めのようだが札幌は風は強いものの、雪はほとんど降っていない。高速を使わないで札幌から旭川に向かう一般的なルートは、国道12号線をただひたすら走るだけ。ただこのルートは途中に岩見沢市があり、それなりの市街地を走るため信号待ちなどが多く私はあまり好きではない。そこで私は、江別から信号待ちの少ない国道275号線に迂回して、滝川で12号線に合流するというルートをいつも選択していた。今回もそのルートで行こうと思い、江別市街を通りすぎて石狩川を渡って田舎道をひた走っていく。
にわかに空模様が怪しくなり吹雪の様相を呈してきた。周りは住宅はほとんどない、農地が広がる本当の田舎道。さえぎるものが何もないうえ、折からの強風により空からも地面からも雪が舞い視界がどんどん悪くなっていく。いつの間にか前はほとんど見えなくなり、視界はほぼゼロ。たまに住宅などがあると風がさえぎられるせいか、うっすらと見えるようになるものの、それ以外は本当に窓をあけて横を見ないと、自分がまっすぐ走っているのかさえわからない状況。そのためいつの間にか曲がって走っていて横の雪山に突っ込みそうになったり、対向車線にはみ出していたりする。対向車もすれ違う直前にならないと見えないのでかなりの恐怖。後ろでは5歳の長女が心配そうにしているが、田舎道のためUターンすることもできず、引き返すこともままならない。
すると突然、前方で車がハザードランプをつけて停まっている。おそらく前が見えないので立ち往生しているのであろう。しかし道は1車線。この車を追い抜かないと前には進めないが、抜かすためには対向車線に出る必要がある。しかし対向車が来ているかどうかは全くわからない。どうするか迷ったがここで立ち往生しても雪が止むとは限らないし、田舎道のため対向車はほとんど来ない。意を決して前の車を追い抜かすべく対向車線に出た。案の定、こういうときに限って対向車は現れるのだ。間一髪、ぶつかることは避けられたが結局追い抜かすことはできず。すっかりビビッてしまった私はしばらく立ちすくんだが、再び意を決して追い抜きにかかる。今度は対向車は現れず追い抜きに成功。なんとか先に進むことができた。途中、交差点で曲がったりして車の進む方向が変わるとすこし視界がよくなったりするのだが、やがてすぐに真っ白の世界へ戻る。そのうち、まっすぐ進んでるつもりなのに何やら雪に埋まっていく感触が。このまま進めば車が埋まってしまうかもしれない。こんなところで埋まったら最後、自力では二度と抜けられなくなるだろう。助けを呼ぶにもこんな田舎で目印もないところにいるのに自分がどの辺にいるのか説明できないし、説明できたとしても助けにくる車がここまでたどりつけるとはとても思えない。まさかこんな目に遭うとは思わなかった。こんなことならおとなしく12号線を走っていればここまでひどいことにはならなかったのに、と悔やむ。しかしここで停まっていても状況は悪くなる一方だ。ちょうど少し戻ったところにUターンできそうなスペースがあったのを思い出す。このまま進めばおそらく埋まる確率はかなり高い。しかしバックでUターンスペースまで戻るとなると、後ろから後続車が来た場合、おそらく激突は避けられない。まさに進むも地獄、退くも地獄である。一か八か、バックでUターンスペースまで戻る方に賭けてみる。幸い後続車はなく、無事Uターンに成功した。そのうち、右に曲がれば12号線へ出るという青看板が見えてきた。国道にさえ出れば大丈夫だ、助かった!と安堵したのもつかの間、右折しようとすると人が立っており大きく×のサイン。どうやら通行止めらしい。最悪だ。まるでパニック映画のようだ。12号線が無理なら275号線に出るしかない。白い地獄の中、もはや自分がどの辺を走っているのかもよくわからない状態で助手席の妻となんとか協力しながらゆっくりゆっくり進み、やっとの思いで275号線に出ることが出来た。場所は月形町役場まで数キロの地点。すこし進むとセブンイレブンの看板が。生きていることを実感する瞬間だった。
すでに出発から2時間ほど経過していた。普通なら1時間もかからない行程を2時間もさまよい続けていたのだ。当初は旭川で食事を取る予定だったのだがもはやそれは無理で、セブンイレブンでパンやおにぎりを買い込み車中で食事を取ることに。275号線も視界は最悪で、先ほどまでの名もない田舎道よりはまだマシだが、ほとんど視界がない状態は変わらない。ただ、前に何台か車がいるので、自分達だけじゃないという安心感と、前の車の通り走ればいいということもありかなり走行は楽になった。旭川への道中、事故で警察のお世話になっている車や、中央分離帯に突っ込んで埋まってしまっている車など多数のアクシデントを見かけた。後でニュースで見たが、この日はやはり吹雪の影響で道内各地で事故が多発し、死者も出たという。自分も一歩間違えれば間違いなく事故に遭っていただろう。免許を取って15年近くになるが、ここまで危険な状況で運転をしたのは初めてだった。何度か心が折れそうになったが(笑)結局旭川につくまで吹雪はやまず、到着したのは午後3時すぎ。出発から5時間以上かかっていた。もはや旭川冬まつりに参加する意欲は失せ、宿に直行することに。
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