阿寒湖の旅(3)
こうして摩周湖方面のプチ観光を終え、一行はいよいよ鶴雅旅館へ到着した。当日は5月5日。翌日は平日にも関わらず大勢の人でにぎわっていた。
東日本大震災の影響がなければもっと人がいたかもしれない。フロントでチェックイン後、案内を待つ間にロビーでは飲み物(ぶどうジュースなど)の飲み放題サービスを行っていた。ちょっとしたことだがとてもおもてなしをされているようで贅沢な気分になった。部屋はごく普通だがウォシュレットやコーヒーメーカー、液晶TVなど各種完備で不満はなし。少しくつろいだ後、早速夕食に。会場はホテル内の「北璃宮」という料亭。案内されたのはなんと個室。今までバイキングがほとんどの我が家にとって個室の夕食と言うのはほとんど経験がない(部屋食を除いては)。小さい子どもがいるゆえの配慮だろうか、とても嬉しかったし、周りに気兼ねすることなく食事ができるのでありがたかった。
料理はアイヌ料理を真似たというものでとてもおいしかった。食事が終わってようやく風呂へ。この旅館では1階と8階に大浴場があり、22:00に男女が入れ替わる。まずは1階の豊雅殿。正直、大浴場はそれほど期待していなかったのだが思いのほかすごい。広さもなかなかのものだし雰囲気もあり、ジャグジー、寝湯、ヒノキ風呂や、変わったところでは洞窟風呂という、まるで洞窟の中を探検するような風呂まであり、子どもも大喜び。露天風呂も広く幻想的でとてもよかった。子どもを寝かせた後、8階の天の原にも行ってみたが、こちらは何と言っても展望露天風呂だろう。内風呂は1階の方が雰囲気があっていいのだが、露天風呂は阿寒湖が一望できる大パノラマ。夜は暗くて何も見えないが、朝にあらためて入ったときには感動すら覚えた。
また、ホテル内には自慢の「くつろぎのトイレ」というトイレがある。男子トイレはちょっと広いだけだが、女子トイレはギャラリーもあり、とてもトイレとは思えない空間(らしい)。また、個人的に魅力を感じたのは「森の神様シマフクロウ」の像。旅館1階のおみやげコーナーの近くにぽつんとある像でそれほど目立つものではないのだが、その神秘的な空間に妙に惹かれた。シマフクロウはアイヌ民族にとっては重要な神様と位置づけられているようで、アイヌ民族が今でも多く住む阿寒湖の旅館ならではの風景であった。ちなみに余談だが、嫁もアイヌ文化に少なからず興味を抱いたようで、翌朝おみやげ屋さんで「コロポックル」(アイヌの伝説に登場する小人で、人形を飾ると幸せが訪れると言われているらしい)の木彫り人形を買っていた。
ちなみにこのホテル、この旅行の1年後の2012年6月に、前年に買収した隣接ホテル共々リニューアルし、「あかん湖鶴雅リゾートスパ鶴雅ウィングス」となった後、2014年には再び「あかん遊久の里鶴雅」に名前を戻してさらにいい旅館になっているようだ。必ずもう一度訪れてこのブログでも紹介したい。